令和6年能登半島地震 この度、1月1日に発生した令和6年能登半島地震により、犠牲となられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆様ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。幸い当院は、地震による凍結保管中の胚・卵子・精子ならびに培養中の受精卵への影響はございません。培養環境等も問題なく稼働しておりますのでご安心ください。報告が遅くなり、皆様にご心配おかけしました。一日も早い再建をお祈り申し上げます。金沢たまごクリニックスタッフ一同
胚盤胞評価について 採卵後5〜7日目の胚盤胞の評価について説明します。当院ではガードナー分類をもとに形態で評価しています。ガードナー分類は①胚の発達状態と②内部細胞塊(ICM)、③栄養外胚葉(TE)の状態を観察し評価しています。①〜③を評価し「4BA」のようにアルファベットと数字を組み合わせて表記します。①胚盤胞の発達状態胚盤胞の発達状態によって1〜6に分類します。②内部細胞塊(ICM)、③栄養外胚葉(TE)将来胎児となる部分を内部細胞塊(ICM)といい、胎盤になる細胞群を栄養外胚葉(TE)といいます。どちらも細胞数でA,B,Cの3段階に分類します。それぞれの細胞群の細胞が多いものをA、非常に少ないものをC、その中間をBと評価します。胚盤胞の移植や凍結は3(完全胚盤胞)以上で行っています。ガードナー分類では3BB以上が良好胚評価となりますが、あくまで形態的に評価しているもので「BC、CB、CCの胚は赤ちゃんにならない」というわけではありません。
顕微受精 顕微受精には、卵子の状態ももちろん大切ですが、精子もとても重要です。私たちは、高倍率(IMSI)で精子の頭部や中片部の奇形まで確認し、良好な形態の精子を選択しています。さらに、スピードの速い元気な精子を選ぶため、精子の動きを弱めるPVP(ポリビニルピロリドン)溶液は使用せず行います。また、第1極体の放出だけでなく、紡錘体を観察することで、卵子の本来の成熟を確認し、その紡錘体に触れない安全な位置から顕微受精を行っています。お預かりした大切な卵子と精子の出会いに、丁寧に優しくを心がけ、全力を尽くしています。
第39回日本受精着床学会学術講演会 7/15〜7/16に日本受精着床学会学術講演会が開催されました。またオンデマンドで7/31〜8/1に配信もありました。ほとんどがリモートでの発表で、慣れないながらもひとつ発表させていただきました。コロナ禍で不妊治療を行うにあたり出てきた問題や工夫についての発表など、他の施設の方たちの苦労を感じました。また来年4月からの保険適応に関しての意見交換なども活発だったように思います。新型コロナウイルスの生殖への影響の有無や、保険適応の件など、まだまだ分からないことが多いので、情報を得ていく必要性を痛感しました。
妊娠率向上にむけて 最新のタイムラプスインキュベーターを導入しました。それにより、全ての受精卵をこのインキュベーターで培養しています。観察時、胚をインキュベーターから出す必要がなく、胚へのストレスを最大限に軽減させることができます。また、タイムラプスインキュベーターで観察することで、定点観察では分からなかった多くの情報が得られます。ひとりでも多くの方に赤ちゃんが授かりますよう、スタッフ一同これまで以上に努めてまいります。