初期胚 vs 胚盤胞
卵子は、精子と受精した後、細胞分裂を始めます。卵子と精子のお見合いから2日目には4細胞くらいの初期胚(写真上)になり、5、6日目には70-100まで細胞が増えた胚盤胞(写真下)に発育します。体外受精で胚移植(ET)する場合、初期胚と胚盤胞のどちらで移植した方が妊娠率が高いですか?という質問がよくあります。とてもいい質問ですが、実はとても難しい質問でもあります。リスクの少ないお産を目指し多胎妊娠を避けるため、ひとつの胚だけ移植することが主流となっている今の生殖医療では、統計上、着床率の高い胚盤胞をひとつ移植することが、教科書的な答えです。ただ、初期胚から胚盤胞への培養技術が進んだ現在でも、胚盤胞にまで育たず、移植をキャンセルする場合も時々あります。移植できない時の精神的ストレスも看過できません。他県の施設で5、6回胚盤胞移植をしても妊娠できず、私の施設での初期胚移植1回目で妊娠できた症例も経験しています。本当に悩ましいと思います。