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精子の凍結保存

精子も胚と同様、-196℃の液体窒素中で凍結保存されます。

保存期間は半永久的だといわれています。急な出張や単身赴任などで採卵当日に採精できないときは前もって精子を凍結しておくことができます。

 

ではその凍結方法ですが、精子も胚と同じく、ただ急激に凍らせればよいというものではありません。精子は胚に比べ大きさも小さく、含有水分量も少ないので、胚の凍結ほど脱水に関して難しい操作は必要ありません。しかし、何の操作もせず液体窒素中に入れれば、ほぼすべての精子が死滅してしまいます。そこで、凍結保護剤が入った液体と混ぜ合わせてから凍結します。この保護剤にはショ糖やグリセリン、DMSOといたものが含まれており、精子を凍結の害から守ってくれています。このようにして、精子も次の受精の機会を冷たい液体の中でじっと待つことができます。しかし、それでも融解後の精子は、凍結前に比べると生存率、運動率ともに下がってしまいます。そのため、融解後の状態によっては顕微授精適用になってしまうこともあるかもしれません。ですが、凍結したからといって精子の染色体異常がおきたり、受精能がなくなるといったことはなく、受精率も新鮮精子と同等だといわれていますので安心してください。融解後は再度精子精製を行い、凍結に耐えられた元気のよい精子だけを集めて受精の場へと送り出されます。

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卵子とモヤモヤ

moyamoya.jpg採卵を経験された方は、卵子を手術室内のモニターでご覧になったことがあると思います。たいていの場合、卵子はモヤモヤしたものに囲まれていてあたかも小さな目玉焼きのように見えます。このモヤモヤの正体は顆粒膜細胞(卵丘細胞)で、卵子を成熟させる大切な役割を持っています。卵子は成熟するまで、顆粒膜細胞と一緒に卵胞という袋の内壁にへばりついていますが、成熟すると内壁からはがれて卵胞液の中をただよい、排卵の時を待ちます。採卵は、超音波のガイド下に卵胞を特殊な細い針で穿刺して卵胞内の液体(卵胞液)を吸引しておこないます。培養士が、吸引された卵胞液中にただよっているモヤモヤを目印に卵子をすばやく探して培養液に移し、顕微鏡を通したモニターの画面上でめでたく「ご対面」となります。

 

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卵子が排卵されるまで

前々回卵子の元となる原始卵胞のお話をしましたが、今回はその続きです。

 

20~30万個ほどに減った原始卵胞は思春期になると、日々いくつかが成長を始めます。そして成長を始めて約65日後、ちょうど月経周期がめぐってくると下垂体から分泌される卵胞ホルモンの影響を受け、さらに大きく成長していきます。このように、成長を始めた卵胞すべてが月経周期にエントリーされるわけではなく、ちょうどホルモンの影響を受けられる大きさになったものだけがエントリーされます。そのため、1度の月経周期にエントリーされる卵胞は10数個ほどだとされています。また、その10数個の卵胞も成長の度合いが異なるため、大きさが揃っているわけではありません。その結果、最終的にはこの中で1番大きく、1番ホルモンに対して反応の良かった1個が大きく成長し排卵されます。それ以外の卵胞はこれまでのように自然と数を減らしていったり、排卵に向けて成長を始めても途中で成長が止まり体に吸収されたりします。

このようにして初潮から閉経までの間に排卵される卵子の数は400~450個ほどだといわれています。つまり、排卵される卵子はすべての原始卵胞のうちのほんのわずか、約5万分の1個ほどなのです。

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第48回北陸生殖医学会学術総会~その2

先日、北陸生殖医学会学術総会がありました。北陸(おもに石川県ですが)の不妊治療を行っている病院や大学病院の発表でした。当院からも発表がありました。

同じ北陸にあっても、普段どんな治療を主になされているのか、また妊娠向上のための試みにどんなことをされているのかを伺う機会はありませんが、この学会では、それを聴くことが出来ました。この学会は金沢で開催されるので、当院のほとんどの培養士が参加し、その後の意見交換などで毎年いろんな形で刺激を受けています。

毎年、百万石まつりと同じ日に開催されるこの学会は、少し興奮した気分で会場から出るとすぐ、まつりの雰囲気が残る金沢の街になります。学会の主催者の方は何かの思惑があって、まつりと同じ日に開催されているのかなと、学会で興奮した気分そのままで帰路につきました。

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卵子の大元となる細胞

卵子の大元となる細胞を、"卵祖細胞"といいます。

まだ お母さんの子宮の中にいる頃に作られ始めます。

妊娠6ヶ月頃 約500~700万個ほどになり、この時期が最大となります。その後は自然に減少し、出生前には約200万個ほどになります。

そして、卵祖細胞から少し成長した"卵母細胞"となり卵巣の中で、長い長い眠りにつきます。

 

生まれる時は、この卵母細胞(約200万)と共に生まれるのです。

生まれた後も、この卵母細胞の自然減少は止まりません。

7歳頃には50万個、思春期には20万~30万個ほどになります。

そしていよいよ月経が始まると、目覚めた卵母細胞が発育し、"卵子"が排出されます。

まさに10数年間の眠りから目覚めた、"卵子"の誕生です。

 

"卵母細胞"は、"長生き細胞"です。自分と同じように年を重ねています。

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