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胚盤胞って...?

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体外授精をしていると、よく胚盤胞という言葉を耳にすると思いますが、

実はあまりよくわからない、という方もいるのではないでしょうか。

長めに培養をして、発育が進んだたまご...となんとなく理解しているとは

思いますが、少し詳しく紹介しましょう。

2日目で移植を行うときは、初期胚といって細胞が4個前後のたまごを

子宮に戻しています。それらは見たまま、細胞数が3個や4個、5個といった

ものですね。そこからさらに3日ほど培養を続けると、細胞分裂を繰り返し、

細胞数が100個近くまで増えてきます。

細胞が増える過程で、離れている細胞はくっついたりもします。1つ1つが

離れている間は中央に細胞が集まっていますが、いったんくっついた後は、

細胞は外側に広がり、中央に空洞を作っていきます。

この,細胞数が増えて空洞を作った状態が胚盤胞です。胚盤胞になると、

細胞の役割が2つに分かれます。上の写真で11時の方向にある丸い塊は

内細胞塊といって、将来胎児になっていくものです。その他のぐるっとまわり

を囲んでいる扁平な細胞が栄養膜細胞といって、将来胎盤などになっていく

ものです。

また胚盤胞になると、成長の仕方が変わっています。どんどん大きさが大きく

なるのですが、身長が伸びるようにただ大きくなっていくのではなくて、縮ん

だり広がったりを繰り返して大きくなっていきます。ですから、移植の時にたま

たま縮んでいて中身が小さくても心配はありません。これから大きくなっていく

んだなと見守ってください。

これで少~し胚盤胞のことがわかったでしょうか??

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たまごの培養

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採卵されたたまごはその後、どのように培養するのでしょう?

施設によって若干の違いはあるかもしれませんが、通常、たまごは、写真のような直径6cmほどの特殊な容器で培養されます。この培養容器を、わたしたちはdish(ディッシュ )と呼んでいます。dishの中央のくぼみ部分に入れた培養液の中でたまごは成長していきます。また、培養液にもいろいろな種類がありましたが、これまでの多くの研究を経て、たまごが必要とする栄養分の組成を考え、現在、次の3種類に分類されます。

  1.採卵後から媒精(精子と卵子のお見合い)後翌日まで培養するもの

  2.受精卵から分割期胚まで培養するもの

  3.分割期胚から胚盤胞まで培養するもの

この3種類の培養液を、たまごの成長スピードにあわせて順次使用していきます。毎日たまごの状態を観察し、慎重に培養液を交換しながら、最長7日間培養します。移植したり凍結保存するその時が来るまで、たまごは培養士に温かく見守られて成長を続けていくわけです。

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胚盤胞のグレード①

                       

今回は、胚盤胞のグレードについて少し書いてみます。

体外培養で、写真のように発育したものが、胚盤胞で、着床の準備を、ほぼ整えた状態まで発育したものです。

写真の胚では、511AAと評価しています。当院では、グレードの評価は、発育日数、成長段階、内部細胞塊と栄養外胚葉の状態を評価し英数字で表しています。511AAとは、5日目の発育で、拡張充分で、内部細胞塊と栄養外胚葉の状態が、良好と評価されたものです。

詳細は、また次の機会で、紹介します。

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初期胚のグレード③

今回は、「初期胚のグレード①」のお話を、採卵から2日目で

4細胞に発育した初期胚を例に挙げて、具体的に説明しようと思います。

 

初期胚のグレードは、主に3つの指標をみているといいましたね。

青色の部分は細胞、黄色はフラグメントです。(実際には、色はついていませんよ)

 

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発育順調、割球のサイズはそろっている、フラグメントなし

グレード2

割球のサイズはそろっているが、少しフラグメントあり

割球のサイズが不ぞろいだが、フラグメントなし

 

グレード3

割球のサイズはそろっているが、フラグメントあり

割球のサイズが不ぞろいで、少しフラグメントあり

グレード4

割球のサイズはそろっているが、フラグメント多い

割球のサイズが不ぞろいで、フラグメントあり

 

 

他にもいろいろ細かく観察して、最終的にグレードを決めているので

多少のズレはありますが、参考にしてみて下さいね。

 

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1+2=双子??

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採卵の次の日、受精確認の際、「受精はしていますが、異常受精になってしまったので、 このたまごは治療には使えません」と言われたことがある方もいると思います。クリスマスの時にお見せした写真では、たまごの中にある前核というものが 2個だったのに対して、上の写真では見にくいかもしれませんが、3個認めます。この現象は、普通の体外受精の場合、ほとんどは精子が2匹入ってしまった場合に発生し、多精子受精といいます。(研究中ですが、精子を1匹だけたまごに入れる顕微授精の場合にも、受精確認時にたまごの中に前核を3個認めることがあり、こちらはたまごの減数分裂の失敗が原因のようです。) 精子が2匹入ったのなら、双子になる んじゃないか !? と思われるかもしれませんが、実は、染色体が多くなってしまうため、正常には発育しません。ですから、せっかく受精しても移植することができません。1卵生の双子でも、たまごと精子は1対1で受精しているんですよ。

 

 

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