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顕微授精と卵子の成熟

顕微授精をする際、卵子が成熟しているかどうか見極めてから行います。なぜかというと「卵子の成熟とは...」の回でもお話ししましたが、成熟していない未熟卵子は、減数分裂が完了していないため精子を受け入れることができません。成熟卵子には極体という印があるので、これが確認できれば顕微授精を行います。印がなく未熟卵子の場合でも、一晩お預かりして培養することで成熟卵子になることがあります。成熟すれば顕微授精を行いますので、採卵でせっかく採れた卵子が未熟だったとしても、あきらめずに待ってあげてくださいね。

 

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卵胞の成熟と卵子の質

卵胞が成熟してきたかどうかの判断は、卵胞ホルモン(E2)の測定とエコー検査での卵胞の大きさの計測で行います。

 

1成熟卵胞あたりのE2値は200pg/mlくらいで、卵巣に確認される成熟した卵胞の数をかけた値くらいあることが目安になります。つまり、採卵できそうな卵胞が3個あったとしたら200×3=600pg/ml以上あればいいと考えます。また、卵胞は成熟してくると18~20mmほどの大きさになるので、エコー検査で大きさを測定して確認します。

 

採卵日を決めるときはE2値と卵胞の大きさを指標にします。これらをチェックすることにより卵胞が成熟してきたことは判断できるのですが、残念ながら卵胞の中に入っている卵子の質まで判断することはできません。なので、採卵をしても卵子が入っておらず空胞だったり、あまり質のよくないものが入っている場合がときどきあります。

 

育ってくる胞状卵胞の中にはすべて卵子が入っているわけではなく、こうした中身のないものやあまり質の良くないものが入っていることもあるのです。原因はもともと入っていなかった、もともと質がよくなかったということになります。

 

そのおおもとの、なぜ入っていなかったのか、なぜ質がよくなかったのかは、年齢的な問題であったり、最初からそうだったということもあるでしょう。

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胚の培養液交換

以前培養液のお話をしましたが、覚えていますか?

当院では採卵から胚盤胞培養まで3種類の培養液を使用していますが、胚の培養液交換は異なる種類の培養液にかえるときだけに行うわけではありません。同じ培養液で培養する時も、ときどき培養液を交換しています。それはなぜかというと・・・。

 

培養液には胚の成長に必要な栄養がたくさん含まれています。しかし、胚が成長していく中で、ずっと同じ培養液の中にいるとだんだんと栄養が消費されてなくなっていきますよね?ですから、ときどき新しい培養液にかえてあげることで、ちゃんと胚に栄養がいきわたるようにしています。

また、成長するということは胚も私たちと同じように生きているわけですから、栄養をとりいれた後は老廃物を排出します。このいらなくなった老廃物が胚の周りにどんどん溜まっていくと環境が悪くなり、成長の妨げになるかもしれません。そのため、この老廃物を取り除くためにも、培養液交換をしています。

このように胚は何度かの培養液交換を経ながら大きく成長していきます。私たち培養士は、胚がお母さんのお腹の中へ戻るその日まで、元気にすくすくと成長するようにお母さんの代わりとなって大切に見守っています。

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卵子と精子の成長過程の違い

出生時精巣には胎児期に作られた精祖細胞が存在します。出生後精祖細胞は体細胞分裂し、1つの精祖細胞から4つの一次精母細胞が作られます。一方出生時卵巣には胎児期に作られた卵祖細胞が体細胞分裂し、一次卵母細胞(原始卵胞)となった状態で存在します。このように出生時には精子と卵子の元はすでに違う段階で存在しています。つまり、出生後精子の元である一次精母細胞は増やすことができ、増やすたびに生まれたての細胞になりますが、卵子の元となる一次卵母細胞は増やすことができず、私たちと同じように年を重ねていきます。

さらに、思春期になり精子、卵子が作られる過程でも違いがあり、精子は1つの一次精母細胞から減数分裂によって4つ作られますが、卵子は1つの一次卵母細胞から減数分裂によって1つしか作られません。

  

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着床

 

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自然に妊娠した時の体内での胚の動きです。もちろん、胚は子宮に対しこんなに大きくはありませんが・・・。

子宮をのぼってきた精子と卵巣から排卵された卵子は卵管の先の方にある卵管膨大部で出会い受精します。その後、受精卵は分割を繰り返しながら卵管を移動し子宮に向かっていきます。

胚盤胞にまで成長したころには子宮まで移動し、孵化すると子宮の内膜にくっつき着床となります。ですので、初期胚を移植された方は早くて移植してから4~5日後、胚盤胞の移植の方は、1~2日後には着床されることが推測されます。

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