卵子とモヤモヤ
採卵を経験された方は、卵子を手術室内のモニターでご覧になったことがあると思います。たいていの場合、卵子はモヤモヤしたものに囲まれていてあたかも小さな目玉焼きのように見えます。このモヤモヤの正体は顆粒膜細胞(卵丘細胞)で、卵子を成熟させる大切な役割を持っています。卵子は成熟するまで、顆粒膜細胞と一緒に卵胞という袋の内壁にへばりついていますが、成熟すると内壁からはがれて卵胞液の中をただよい、排卵の時を待ちます。採卵は、超音波のガイド下に卵胞を特殊な細い針で穿刺して卵胞内の液体(卵胞液)を吸引しておこないます。培養士が、吸引された卵胞液中にただよっているモヤモヤを目印に卵子をすばやく探して培養液に移し、顕微鏡を通したモニターの画面上でめでたく「ご対面」となります。