透明帯の役割
前回AHのお話で透明帯の役割について少し触れましたが、今回はもう少し詳しくお話したいと思います。
透明帯とは卵子の周りを覆っている糖たんぱく質の膜です。
透明帯にはいくつかの役割があり、その1つが受精における先体反応の誘起と多精子受精の阻止です。受精において精子が卵子に入り込む際、精子の先端から酵素が放出されることで精子が透明帯を通過し卵子に入り込むことができるようになりますが、透明帯はこの先体反応を引き起こす働きがあります。また、1匹の精子が卵子に入り込むと透明帯が変化し、他の精子が侵入できないようにすることで多精子受精を防いでいます。
そして、前回お話したように分割期にある胚の細胞がばらばらにならないよう囲い、さらには周囲からの悪影響を受けないように胚の中身を守ってくれています。このように、透明帯は卵子ができてから胚が子宮壁に着床するまでの間、胚を外界から守り、保護する役割をも担っています。