胚移植
「胚移植」とは、採卵で卵巣から取り出した卵子に精子を与えて受精させ、細胞分裂した分割卵(胚)、あるいはもう少し発育の進んだ胚盤胞を子宮の中に戻してあげることです。胚移植の方法を説明します。胚は酸素によるストレスを受けやすいのですべての操作は培養液中に入れたまま行います。また、胚はとても小さくデリケートで、どんな小さなピンセットでつまんでも人の握力では押しつぶしてしまうため、シリコン製のやわらかいチューブで少量の培養液と一緒に吸い上げて運んでいます。
このチューブはとても柔らかいので、そのままでは曲がってしまい子宮の奥まで入れることができません。そのため予め少し硬さのあるガイドカテーテルと呼ばれるストローのようなもの(下の写真の白い棒状のもの)を子宮の入り口(頚管)に挿入して通り道を確保します。このガイドカテーテルもかなり細いので通常は挿入の際にはほとんど痛みを伴いません。しかし、子宮の形状によってまれに挿入に少し苦労することがあります。
無事にガイドカテーテルが挿入されれば、そこに胚を吸い上げたチューブを通して、子宮の中に胚をそっと届けることができます。胚移植の際は採卵の時と同じように緊張したり不安になったりするかもしれませんが、できればリラックスして、"おかえり"という優しい気持ちで胚(赤ちゃんのもと)を迎えてあげて下さいね。