密度勾配遠心法
密度勾配遠心法による精子分離は、精子の成熟段階で細胞密度が変化することを利用したものです。精液の中では成熟精子の細胞密度がもっとも高く、未成熟精子は残存する細胞小滴のため、細胞密度が低くなります。また死滅した精子は細胞膜の透過性が変化し、水分が細胞内に浸透するため、密度が低下します。
アイソレートという精子分離剤を使って精液を遠心することで、精液中の不純物や変性細胞、奇形精子、死滅精子などを取り除くことができ、元気のいい成熟精子を回収できます。
下の図のように、90%、70%、50%のアイソレートと精液を重層し遠心をかけると、重いもの(密度の高いもの:成熟精子)は下に沈み、軽いもの(密度の低いもの:未熟精子や死滅精子)はアイソレートの層に引っかかるので、元気のいい成熟精子を分離することができます。
一番下に集まった元気な精子は、さらに洗浄しきれいにして濃度を調節してから、媒精に用いられます。