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受精率

通常の体外受精と顕微授精の受精率の差についてよく質問を受けます。両者には若干の差があります。

顕微授精の場合、卵子の周りに付いている卵丘細胞(目玉焼きの黄身が卵子だとすると、白身に相当する細胞)を取り除いて、成熟を確認した卵子のみに行います。そして卵子に精子を直接入れるので、必ず出会えます。(ただし、出会った後に何らかの反応を経て受精となるので、100%受精するわけではありません)

通常の体外受精の場合は、卵丘細胞が必要なので取り除きません。このため媒精(お見合い)した卵子の中に、未熟で精子を受け入れられない卵子が含まれている場合もあります。また、自然に出会うのを待っているので、受精障害がある場合には出会いそびれ(精子が卵子に進入できない)が生じます。

以上の理由から、統計処理をすると顕微授精の受精率が少し高くなります。受精した後の胚の発育・妊娠率に差はないため、培養士と医師は、精子の状態・過去の治療歴などからどちらの方法がよいのかいろいろ考えていますが、患者さんの希望も大切にしたいと思っています。 「やってみたいけどよくわからない・・・」ということがあれば、気軽に声をかけてくださいね。

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卵子の成熟とは...

通常、ヒトの細胞は性別を決めるための性染色体を2本持っています。

しかし、卵子、精子それぞれは性染色体を1本しか持ちません。どうし

て1本になるかというと、2本づつあるいは片方が2本の性染色体をもっ

て受精をすると、その受精卵は性染色体が3本や4本になり、染色体

異常疾患となってしまいます。そうならないために、卵子や精子は2本

から1本になるため、減数分裂という細胞分裂を行い、受精に備えます。

また、性染色体だけでなく、他の遺伝情報をもつ常染色体に関しても

同じで、染色体の不足や過剰は染色体異常疾患に繋がります。

 

少し難しくなりましたが、減数分裂を簡単にいうと、染色体が多くなり

すぎないように、細胞質の中にある染色体を2つにわけ、半分を細胞

質の外に放り出すという作業です。放り出されたものを極体といい(緑

の矢印)、これが確認できるたまごが成熟している卵子ということです。

つまり、極体が見えないたまごは、まだ減数分裂が完了しておらず、

精子を受け入れることができないのです。

 

                        oocyte-m2.jpg 

 

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精子の精製

精液は、液体成分「精漿(せいしょう)」と細胞成分「精子」とで構成されています。

体内では、膣内に射精された精液は、子宮頚管→子宮腔→卵管と通過しながら、精漿の除去と運動精子の選別が行われます。さらに精子は受精能獲得、先体反応などの生理的、形態的変化を経て、受精が可能となります。

体外受精の場合も同様に、精漿の除去、運動精子の選別・変化が必要となります。精子の精製は、これらのことを体外で代行する操作のことで、体外受精において重要なプロセスの一つです。精子精製法には何種類かありますが、たまごクリニックでは、密度勾配遠心法を行っています。そして、精製後に集まった運動精子の数や動きをみて、「通常の体外受精」がよいか「顕微授精」がよいかを判断しています。

密度勾配遠心法については、次の機会にお伝えしますね。

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培養液について①

体外受精において、培養液は、卵子・精子・胚に直接影響を与え、その後の胚の発育はもちろん妊娠にまで影響を及ぼす最も重要な因子の一つであり、必要不可欠なものと言えます。

ヒトの体外受精に用いられる培養液にも歴史があります。1985年にQuinnにより、ヒト卵管液の成分を基にした単純な組成からなる培養液 (HTF) が開発されました。HTFは従来の培養液に比べて品質管理が容易で安定した成績が得られたため、広く使用されるようになりました。1996年にGardnerらは、初期胚培養用と後期胚培養用で異なる連続型培養液 (Sequential Medium) を開発し、胚盤胞までの長期胚培養を可能にしました。これを契機に、胚盤胞までの培養が盛んになりました。

そもそも胚の代謝は、発育のステージにより必要な栄養素が異なります。Sequential Mediumはこのような胚の代謝を考慮し、発育時期に特異的な組成で培養を行うという考えに基づいて生まれました。これに対して、胚自身が必要な栄養素を選択・吸収し、利用するのではないかという考えから、受精以降一連した組成で培養を行う培養液も開発されています。

to be continued

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7日目の胚盤胞

当院で採卵後に胚盤胞移植をする場合は、5日目もしくは

6日目に発育した胚を移植しています。ただ、なかには発育が

ゆっくりで、7日目にようやく胚盤胞になる胚もあります。

その場合、採卵した周期には移植せずに凍結保存しています。

 内膜には「インプランテーションウィンドウ」という胚の着床可能な

期間があり、採卵後7日目に胚盤胞を移植しても、すでに内膜は

胚を受け入れられない状態になっていて、せっかくの胚が無駄に

なってしまうと考えているからです。

 凍結保存した胚盤胞は、別の周期にホルモン値測定や超音波診断から

内膜の受け入れ態勢を考えて移植します。

大切な胚がひとつでも多く妊娠につながりますように・・・

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